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豊胸手術が授乳に影響を与えるかどうかについては様々な議論があり、まだ、完全に答えが出たとは言えない状況にあります。しかし一方で、「豊胸手術により母乳の出が悪くなるリスクが高まる」という研究報告もあるので、ここでご紹介します。

以下、National Reserach Center for Women & Familiesが授乳に関する研究論文をまとめてレポートとして出しているのでご紹介します。

■乳腺手術は授乳に問題を起こす可能性がある
 (Breast Surgery Likely to Cause Breastfeeding Problems)

医学研究所(Institute of Medicine)によると、豊胸手術を含めた乳腺手術は、母乳の出が不十分になる確率を少なくとも3倍程度高めるという1)。医学研究所によるこの見解は、下記に解説している豊胸手術や他の乳腺手術に関するいくつかの研究論文の結論を基にしている。

1)National Academy of Sciences Institute of Medicine, Safety of Silicone Breast Implants, National Academy Press, Washington, D.C., 1999, p. 197.

(*以下豊胸手術以外の乳腺手術の部分の記述については割愛します。:サイト管理者)

●Hurst, N.M., Lactation After Augmentation Mammoplasty, Obstetrics & Gynecology, 1996; 87: 30-34.

テキサス子供病院のNancy Hurstらの研究によると、

豊胸手術を行った女性では「64%の女性が母乳の分泌が不十分」なのに対して、豊胸手術を行っていない女性では「わずか7%」だった。

Periareolar incision(乳首の周りを切開する術式)が問題を起こす大きな原因のようだが、他の切開法でも女性の授乳を困難にしていた。

●Strom, S.S., Cosmetic Saline Breast Implants: A Survey of Satisfaction, Breast-Feeding Experience, Cancer Screening, and Health, Plastic and Reconstructive Surgery, 1997; 100: 1553-1557.

テキサス大学のDr. Sara Stromらの研究では、生理食塩水バッグによる豊胸手術を受けた経験がある母親(46人)の授乳の割合を調べた。

46人の母親のなかで、「授乳をする」という選択をした母親は28人だった。しかし、この内11人(39%)の女性は授乳に何らかの問題があった。問題の原因としては、11人の内の8人は豊胸手術による影響と考えられた。

そして、8人の内、7人はperiareolar incision(乳首の周りを切開する術式)により豊胸手術を受けていた。

この研究では、豊胸手術を受けていない女性を”コントロール群”として比較していない。しかし、この研究の結果は「豊胸手術を受けた女性は授乳に問題がある割合が高い」という他の研究結果と一致する。

■豊胸手術が授乳に影響を与える理由

豊胸手術がなぜ授乳に問題を起こすのか、その理由はまだ完全に明らかではない。

1つの理由としては、外科手術が母乳を作る管路にダメージを与えている可能性が考えられる。豊胸バッグの挿入がperiareolar incision(乳首の周りを切開する術式)により行われた場合は、特にその可能性が高い。

もう1つは、豊胸バッグがおそらく乳房組織に圧力をかけ、それが乳房組織にダメージを与えて、結果として母乳の生産を減少させる可能性が考えられる。

しかしながら、現時点では、豊胸手術を受けた女性の授乳の問題が、豊胸バックによるものなのか、外科手術によるものなのかを特定するのは不可能である。

ただ、いずれにせよ、「豊胸手術を受けた女性、特にperiareolar incision(乳首の周りを切開する術式)により豊胸手術を受けた女性は、授乳ができにくくなる。」という最終結果は同じである。

研究で明らかになった上記の問題に加えて、他にもいくつかの症例報告がある。

例えば、乳腺炎、乳漏症(妊娠や出産をしていない女性から母乳が出る症状)、乳瘤形成(乳管が詰まりできる瘤)など。しかしながら、これまできちんとした研究が行われていないので、豊胸手術後にこれらの問題がどの程度の割合で起こるのかを特定するのは不可能である。

December 2000
By Patricia Lieberman, Ph.D.

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